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AED普及前事故例、AEDで救えた命

ーその時、AEDがあったらー

AED普及前の事故事例

日本で心肺蘇生法が注目されることになったきっかけの一つは、1986年、バレーボール試合中の突然死でした。

手当を受けられなかったバレーボール選手

1986年1月22日、松江で行われていた女子実業団バレーボール「ダイエー対日立」の試合中、ダイエーのフロー・ハイマン選手がベンチ前で突然、倒れました。
しかし、試合は中断することもなく、ハイマン選手は救命措置も受けずに担架で外に運び出されて、2日後に亡くなってしまいました。

アメリカ出身のフロー・ハイマン選手は、ロサンゼルスオリンピックで米国代表にも選ばれた有数のエースアタッカーであり、当時32歳でした。

ハイマン選手の事故は海外でも大きく取り上げられましたが、最も問題になったのは、主催者、スタッフの対応でした。

──日本人はなぜ、心肺蘇生をしないのか?──

当時、すでに欧米では、「事故・急病の時は、救急車が来る前に、一般市民が心肺蘇生を施すのが当然」とされていたのに対し、日本では、スポーツの心臓への負担、心肺蘇生法の重要性がほとんど認識されていませんでした。
 
この事故をきっかけに、日本でも救命救急治療への取り組みが始まりました。

しかし、それから6年後、さらなる悲劇が起りました。

手当を受けられたのに……高円宮殿下

2002年11月21日、カナダ大使館でスカッシュに興じていた高円宮殿下(当時47歳)が突然倒れ、帰らぬ人となってしまいました。

高円宮殿下は、倒れた時にすぐに心肺蘇生法を受け、さらに、救急車も早急に到着し、応急処置後、病院に運ばれて適切な治療を受けましたが助かりませんでした。
それは、倒れた時に「心室細動」状態であり、すぐにAEDで「除細動」をする必要があったのではないかと考えられています。

この場合の「すぐ」とは、2分以内、「倒れてすぐ」です。 どんなに救急車が急いで駆けつけても、5分以上はかかります。その場にAEDがなければ、使えません。

高円宮殿下の事故以来、心肺蘇生だけではなく、AEDの重要性も広く知られるようになりました。 また、その後も下記のように運動中の心臓突然死事故が続いたことから、AEDの設置が進み、一般人でも使えるようになりました。

  • 2007年4月 大阪府岸和田市内畑町の飛翔館(ひしょうかん)高校グラウンドで、春季近畿地区高校野球大会府予選3回戦桜宮―飛翔館の試合中、飛翔館の2年生、投手の左胸に打者の打球が直撃しマウンドに倒れ、同校にあったAEDによる救命措置などで回復。
  • 2009年3月 「東京マラソン」でタレントの松村邦洋さんが倒れ心肺蘇生法とAEDの使用により回復。
  • 2010年11月 「第30回江東シーサイドマラソン」29歳・男性が倒れ、死亡。
  • 2010年11月 「名古屋シティーマラソン」43歳・男性が競技中に倒れ、心筋梗塞で死亡。
  • 2011年4月 「レディー・ガガのコンサート」を見にきていた33歳・女性が倒れ、AED使用後、回復。
  • 2011年8月 サッカー元代表の松田直樹選手が松本市内の公園でランニング中に倒れ、死亡。
  • 2012年4月 競泳ノルウェー代表のアレクサンドル・ダーレオーエン選手がアメリカでの合宿中に倒れ、心筋梗塞で死亡。
  • 2013年2月 「東京マラソン2013」30歳・男性が競技中に心肺停止。観客、ランナーにより心肺蘇生法、AEDの使用が迅速に行われ現場で回復。

練習場の公園にAEDがなかった松田直樹選手

2011年8月4日、全世界のサッカーファンに衝撃が走りました。松本山雅FCの松田直樹選手が、練習中に急に倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。
松田直樹選手は、わずか34歳でした。
有望な選手を失った悲しみと共に、練習場所だった公園にAEDが設置されていなかったことは、大きな課題を残しました。

松田直樹選手が倒れた時、チームでは、ただちに人工呼吸と胸骨圧迫を行い、10分後には救急車が到着、AEDを使いました。AEDが使われるまで、およそ15分です。
もしも、公園にAEDが設置されていれば、もっと早く処置ができたでしょう。

AEDを使っても、松田選手は助からなかったかもしれません。 しかし、すぐにAEDを使えなかったことは事実です。

人が倒れた時に、その原因は分かりません。だからこそ、迅速にAEDを使うことで、救える命が増えるのです。

松田直樹選手は、1977年3月14日生まれ、群馬県桐生出身。前橋育英高校から、横浜マリノスに進みました。
日本代表歴は、U-16に始まり、オリンピック、A代表までと、長く活躍しました。特にオリンピックでは、マイアミの奇跡を呼んだ1996年のアトランタオリンピック、さらに、2000年のシドニーオリンピックと、数少ない2大会連続出場選手となりました。
Jリーガーとしては、Jリーグが開幕した年に、横浜マリノスに入り、横浜Fマリノスではキャプテンも務め、「ミスターマリノス」とサポーターたちに愛されてきました。
2011年に、当時、JFLの松本山雅FCに移籍、Jリーグ昇格を目指して頑張っていた矢先でした。
親分肌で後輩たちにも慕われていたという松田直樹選手。そのあまりにも早い死を悼む声はいまだ、途切れることがありません。

──松田選手の死から広がるAED設置──

松田選手の訃報は全世界に報道され、国内外で新たにAEDを設置する動きが広がりました。
松田選手が急逝した翌週には、日本陸上競技連盟(JAAF)が、競技場内で行うトラック、フィールド種目でAEDの設置を義務付け、あわせて操作方法を広めると決定しています。
また、日本サッカー協会は2011年11月に、「チーム等に対する医学的義務の件」として、Jリーグ・日本フットボールリーグ・なでしこリーグ・Fリーグ所属チームにAEDの所持、および携行を義務付けました。

心臓突然死は誰にでも起こりえます

私たちが思っている以上に、心臓突然死による死亡例は多く、年間4万人、1日に100人以上の人が、心臓が原因で突然死しているといわれています。

上の例であげたように、マラソン、運動中の事故だけではなく、ストレスや緊張、疲労でも、心臓突然死は起ります。

また、その中には、健康診断で異常のない人、運動が好きで体力に自信のある人もたくさんいます。
では、なぜ、心臓突然死が起るのでしょう。

それは、誰でも年齢とともに少しづつ体力が落ちていくように、体にも負担がかかっていくからです。血液の流れが悪くなり、心臓の動きも悪くなっていきます。心肺蘇生法講習会

日常生活では健康そのものでも、急激な運動やストレスなど、なんらかの環境の変化で、隠れていた負担が一気に吹き出して発作を起こすと考えらています。
心臓発作を起こすほとんどの人は、自覚症状も予兆もなく、突然、倒れ、意識を失います。

現代社会に生きる人なら、誰でも、何かのきっかけで、発作を起こしてしまうかもしれないということです。

もう少し詳しく説明していきましょう。

日頃の過労、運動の過不足、食生活などが原因で、体が少しづつ悪くなっていくことは「生活習慣病」といわれます。

厚生労働省は「生活習慣病」からなる病気として、糖尿病、脳卒中、心臓病、高脂血症、高血圧、肥満をあげ、さらに心臓病について、5つに分類しています。

つまり、日頃は健康でも、上記のような問題をかかえていれば、いつ、心臓発作を起こしてもおかしくないということなのです。
(上記のどれが原因の心臓発作でも、すぐにAEDで処置できれば、命をとりとめる可能性があります)

この中でも、(1)の「虚血性心疾患」は、多くの健康に問題がないと思っている人が、密かに抱えている基礎疾患です。

よほど食生活に気をつけている人でない限り、現代の食生活は、肉が多く野菜が少なくなりがちです。その結果、肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症が進んで、動脈硬化と共に心臓の血管が血栓などで詰まり、血液の流れが悪くなっていきます。

それが、激しい運動など心臓の活動が活発になるときに発症しやすくなります。ほかにも、起床2時間以内、過度のストレス、過労、飲酒後などにも起ります。 通勤途中、深酒をして就寝した後、残業続きで帰宅した後、などの心臓突然死もこれに当てはまります。

AED普及を伝える新聞記事発症年齢としては30歳を越えると増加しはじめ、60歳代が最も多く、また男性が多いのが特徴です。

怖いのは、急性心筋梗塞発作で救急車搬送された例では、約3割以上が病院到着前に死亡していることであり、心筋梗塞を発症する人の50%は、その前になんの予兆も自覚症状もないことです。50%の人は、狭心症による胸の痛みの経験がありますが、急性心筋梗塞はやはり突然、起ります。

もちろん、食生活、生活習慣を気をつけることで、心臓突然死の可能性は低くなります。

それでも、万が一、心臓発作が起きてしまった時、その瞬間に命を救えるAEDが必要といえるでしょう。

子どもに多い心臓震盪(しんぞうしんとう)

心臓突然死が起るのは成人だけではありません。過度の緊張、運動、ストレス、ショックにさらされた未成年にも起りますが、未成年、特に子どもに多いのが心臓震盪です。

キャッチボールで3000万円和解 小5男児突然死、原告訴えを認められる

2002年4月15日、公園で遊んでいた小学校5年生(当時10歳)が、近くでキャッチボールをしていた小学男児が投げたボールが胸に当たって倒れ、病院に運ばれたものの4時間後に死亡する事件がありました。

亡くなった少年の両親は、死因は野球の軟式ボールが胸に当たったことによる「心臓震盪(しんぞうしんとう)」として、公園で一緒にキャッチボールをしていた男児2人の両親を相手に6300万円の損害賠償を求めました。仙台地裁は原告側の主張を認め、6000万円の支払いを命じ、高裁まで持ち込まれた結果、和解金3000万円で決着しました。

参考:心臓震盪から子供を救う会

「心臓震盪」は、30歳までに多く、特に胸壁のやわらかい子どもに起こりやすい症状です。
胸部に衝撃が加わった時に、心臓のリズムが崩れ、心臓の痙攣、つまり「心室細動」が起きます。心臓震盪は外傷が無くても、軽く当たっても起ります。ただ当たった勢いやショックで倒れたように見えるかもしれませんが、非常に危険な状態なのです。

野球やソフトボールの球が胸にあたった時の事故例がほとんどですが、空手の正拳突き、サッカーやバスケットボールを胸で受けた時、子供同士のふざけあいなどでも起こった事例があります。
「心臓震盪」が起こる確率は限りなく低いとされていますが、万が一、起ってしまった時は大問題に発展してしまうでしょう。

中学3年生、サッカーボールを胸に受け死亡

2007年3月、愛媛県の中学校で行われたクラス対抗サッカー大会で、中学3年生の男子生徒がサッカーボールを胸で受けた直後に、倒れてしまいました。
病院に運ばれましたが、既に心肺停止状態で、その9日後に亡くなってしまいました。

男子生徒は心臓に既往症はなく、また、学校にはAEDが設置されていませんでした。

もともと健康な心臓がなんらかの原因で心室細動に陥った場合、AEDで除細動できれば蘇生する確率は限りなく高いとされています。
こうした事故をきっかけに、学校や公園、体育館でのAED設置も増えています。

AEDで救われた命

アメリカでは、2001年に連邦航空局による全旅客機へのAED搭載を皮切りに、連邦政府ビル、空港、カジノ、一般企業、学校、公的施設へのAED配備が進んでいます。シカゴのオヘア国際空港では、通行人がAEDを使用し、2年間に心停止18例のうち、11例の蘇生に成功しました。

日本国内のマラソン大会で、初めてAEDで命を救えたのは、2005年に大阪府で行われたマラソン大会です。

第12回泉州国際市民マラソンでランナーがAED使用

2005年5月20日 大阪府で行われた第12回泉州国際市民マラソンで、スタート地点から1キロ先で、70歳の男性が倒れ、心肺停止状態になりました。
男性の近くを走っていた、マラソンの参加ランナーのうち、救急救命士、医師、看護師らがただちに心肺蘇生法を開始、さらに並走していた救護車のAEDを使ったところ、心拍、呼吸ともに戻りました。

男性は高齢とはいえ、マラソン歴25年、フルマラソン出場も60回を越すベテランでした。原因は心筋梗塞だったそうです。

イベントでもAEDが設置されるのが、常識になりつつあります。

2005年 愛知万博「愛・地球博」の蘇生例

3月、パビリオンの工事中に50代の男性作業員が倒れ、連絡を受けた救急救命士が急行、AEDを使用し、心肺蘇生しました。
4月、50代の女性の呼吸が停止しました。この時は、救急隊がAEDで心電図を取りながら、救急措置を行い、呼吸を戻しました。
8月、40代の男性が心肺停止で倒れましたが、近くにいた医学生3人がAEDを使い、蘇生しました。 3例とも、AED使用後、病院に運ばれ、後遺症もなかったそうです。

学校に設置されたAEDで生徒の命が救われた例も増えてきました

高校野球児の心臓震盪、観戦中の救急救命士が救う

2007年4月、大阪府の私立高校で、高校野球の試合中に、打球が投手に直撃し、投手が意識を失って倒れました。観戦中の救急救命士がただちに心肺蘇生を行い、学校に設置してあったAEDを使ったところ、心拍、呼吸が戻りました。

上記の例はたまたま医療関係者が現場に居合わせたことも幸いしていますが、東京マラソンでは、一般人でもAEDを使えることを生かしボランティアが活躍しました

ボランティアが活躍した東京マラソン

2007年2月18日、約3万人が都内を走った「東京マラソン」では、救急救命士、ボランティアの学生ら約30組がAEDを携帯して、各地点に自転車で待機、急病、事故が発生した時はすぐに駆けつけられる体制を整えていました。
その結果、38キロ地点で倒れた59歳の男性はすぐに救護所に搬送され、また、41キロ地点で倒れた男性は、自転車で駆けつけたモバイルAEDが蘇生を行い、それぞれ無事に回復しています。

突然の心肺停止は、運動中だけでなく、人が集まる場所、駅、学校、イベント会場、オフィスでは、いつ遭遇しても、不思議ではありません。AEDの設置が進み、AEDについて知る人が増えれば、救われる命ももっと増えるでしょう。

*上記でご紹介した事故例は、複数の報道、報告を元に作成いたしました。

AED設置は日々、増えています

AED設置が増えています

公共施設、駅やビル、イベント開催場所など、AEDを目にすることが多くなっています。急病、事故の際にAEDをすぐに使えることができれば、それだけ多くの命が救われること、初めての人でも扱えることが社会に受け入れられてきているからでしょう。

どこにAEDが設置されているかは、日本救急医療財団のサイト内にあるAED設置場所検索のページで検索できます。
公表されている設置場所は、日本救急医療財団に届け出があったものだけですが、それでも相当数にのぼります。

家や会社、学校、スーパーなど外出先の周辺にAEDが設置されているか調べてみてください。いざという時、その知識が役に立つこともあるかもしれません。

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